
組織やチームを率いるリーダーには「勇気」が必要だ。それを磨くには、まず自分自身の「臆病さや不安(ヴァルネラビリティ)」を受け入れることが必要だという。本稿では『dare to lead リーダーに必要な勇気を磨く』(ブレネー・ブラウン著/片桐恵理子訳/サンマーク出版)から内容の一部を抜粋・再編集。勇気と不安の関係や、不安への向き合い方、リーダーシップのあるべき姿について解説する。
共感力のあるリーダーは、どのような意識を持ち、どんな行動を実践しているのか? リーダーに不可欠なスキルを身に付けるための秘訣を紹介する。
共感のスキル#1
他者の視点で世界を見ること

私たちは自分らしさ、出自、広大な経験を宿した「独自のレンズ」を通じて世界を見ている。そのレンズに年齢、人種、民族、能力、信仰といった要素が含まれているのは言うまでもないが、知識、洞察、経験もまた、私たちが世界を見る際のレンズを形づくっている。
過去や経験の産物であるその視点は、独自の世界を映しだす。10人が同じ出来事を見たら、何が、どのように、どうして起こったかという、10個の異なる視点が生まれるのはこのためだ。では、目で見て知り得る「普遍的な真実」は存在するのだろうか? もちろんだ。数学や科学は多くの実例を提供してくれる。
その一方で、人間の感情、行動、言語、認知といった目まぐるしい要素に関しては、さまざまな見方がある。
「共感」に関するよくある誤解のひとつは、「自分のレンズを外して、他人のレンズで見ることができる」というものだ。それは不可能だし、私たちのレンズはそれぞれに接合されている。
私たちにできるのは、たとえ自分のそれとは違っても、「他人の視点を、真実として尊重すること」だ。