写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
多様な知を融合し、価値観・考え方・やり方を柔軟に変えていく――その日本人らしい特性こそ、再び世界で輝く鍵になる。日米の研究者が105社のトップにインタビューし、新たなリーダーシップと経営革新の深層を探った話題書『ジャパン・ウェイ』(池上重輔著・監訳/ハビール・シン、マイケル・ユシーム著/渡部典子訳/日経BP 日本経済新聞出版)から一部を抜粋・再編集。企業文化をどう変え、日本企業をどう再生するか、そのヒントを探る。
海外M&A(合併・買収)とガバナンス改革でJTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー:日本の伝統的企業)モデルを超えようとするリクルート。当時36歳だった「デコ」こと出木場久征氏を次期社長候補に抜擢した狙いとは?
リクルートのガバナンス
『ジャパン・ウェイ』(日経BP 日本経済新聞出版)
RJ型取締役の影響力は、前章でも触れた、東京に本社を置き、世界60カ国で5万人以上の従業員が人材サービスを中心に事業を展開しているリクルートホールディングスのガバナンスの進化にも見ることができる。
リクルートは企業評価サイト「グラスドア」や求人情報サイト「インディード」を保有することで、アメリカでも間接的に名前が知られるようになった。
1960年にリクルートの前身となる企業を設立した江副浩正氏は、早くから大学生向け就職情報誌「企業への招待」、住宅情報誌、日本初の女性のためのキャリア情報誌「とらばーゆ」などを創刊してきた。また、江副氏はテクノロジーもいち早く取り入れ、他者に先駆けて手頃な価格のIBMミニコンピュータ1130を日本に持ち込んだ。
1987年に入社し、2017年にリクルートの5代目CEOに就任した峰岸真澄氏は、さらにデジタルかつグローバルで、より毅然とした企業になることを強く打ち出した。それが明確にわかる変化を起こす際に、経営に迎え入れた多様な社外取締役が助けになったという。
峰岸氏がリクルートをJCモデルから移行させるのに特に重要だと考えたのが、他の市場や地域で経営経験を持つ大企業のトップエグゼクティブを取締役に迎えることだった。
そこで2018年に、ソニーの取締役の一人で、ソニーモバイルコミュニケーションズのチーフ・エグゼクティブを経て、親会社のCFOを務めていた十時裕樹氏と、アサヒビールの最高経営責任者を務めた泉谷直木氏をリクルートの取締役に迎えた。







