
ロシアによるウクライナ侵攻は2025年2月24日に4年目に入った。
大統領選の際に、就任したら24時間以内で戦争を終わらせると約束していたドナルド・トランプ大統領は2025年2月12日、プーチン大統領と電話で会談し「長時間にわたり有意義な協議」を行ったと述べた。
また、プーチン氏と「近いうちに」戦争終結について話し合う可能性があるとも述べた。
ところが、2025年2月18日、サウジアラビアのリヤドで、ウクライナでの戦争終結をめぐる協議がウクライナを交えず、米国とロシアのみで行われた。
これをきっかけに、トランプ米大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の批判の応酬が始まった。詳細は後述する。
ところで、これまで停戦交渉は、4回の対面での交渉と1回のオンラインでの交渉が行われた。
最後の5回目の交渉は、2022年3月29日、トルコの仲介によりイスタンブールで開催された。
その時は、ウクライナの「中立化」(NATO=北大西洋条約機構)非加盟、ウクライナの「武装解除」、クリミア半島並びに「ドネツク人民共和国」および「ルガンスク人民共和国」の地位問題などの6項目が話し合われ、合意に近づいた項目もあった。
しかし、それ以降、交渉は行われていない。
2022年2月の侵攻開始当初、ゼレンスキー氏はプーチン氏に対話を求めていた。だが、ブチャの虐殺が停戦交渉にとって大きな転換点となった。
ゼレンスキー氏は2022年4月4日、多数の民間人が犠牲となった首都キーウ近郊のブチャを訪れ、「ロシア軍がウクライナでした残虐行為の規模を見るとロシアとの停戦交渉は非常に難しくなった」と語った。
筆者は、この時にゼレンスキー氏は、戦争に勝利し、プーチン氏を戦争犯罪の罪で必ず処罰しようと決意したのだと見ている。
これ以降、停戦交渉機運は急速に萎み、交渉は一度も開催されていなかった。
ところが、トランプ大統領の就任に伴い、停戦交渉が現実のものとなってきた。
しかし、リヤドでのウクライナでの戦争終結をめぐる協議が、ウクライナ抜きで、米ロのみで行われた。
次回の停戦交渉には当事者であるウクライナが参加することを筆者は願っている。
さて、本稿ではなぜプーチン大統領はウクライナに侵攻したのかについて述べてみたい。
以下、初めにトランプ米大統領とゼレンスキー大統領の批判の応酬について述べ、次にプーチン大統領の誤算について述べ、最後にプーチン大統領のウクライナ侵攻への道程について述べる。