(3)誤算3:ウクライナへの軍事・経済支援を巡る西側諸国の結束
2014年のロシアによるクリミア併合の際、西側諸国はロシアによるクリミアでの住民投票の無効を主張しロシアを非難したが、ウクライナを軍事・経済的に支援することはなかった。
当時のバラク・オバマ米大統領はクリミア併合を非難し、プーチン大統領の側近を制裁対象に加えるなど、新たな対露制裁を発表したのみであった。
プーチン氏は、2022年のウクライナ侵攻でも西側諸国は2014年のクリミア併合の時と同じように、「商売大事で、力による現状変更を事実上黙認する」であろうと見込んでいた。
ところが、2022年2月のロシア軍のウクライナ侵攻に際しては、NATOやG7が、迅速にウクライナ支援を明言した。
例証1
2022年2月25日、NATOは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて緊急のオンライン首脳会合を開いた。
東欧の防衛を強化するため陸海空の即応部隊を派遣することで一致。ウクライナに対し、対空防衛システムを含めたさらなる武器の提供を行うことも決めた。
さらに、3月24日、NATOは加盟30か国の緊急首脳会議を開き、ロシアのウクライナ侵攻を強く非難する共同声明を採択するなど、加盟国が結束してウクライナに追加的軍事支援を行うことで一致した。
例証2
米国、英国、EU、カナダは2月26日、ロシアの一部の銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することに合意した。
2月27日には当時の岸田文雄首相がそこに日本も加わると表明した。
3月24日のNATO首脳会議に合わせて、日本や米国などG7の緊急首脳会合が開催された。
G7の共同声明ではウクライナへの侵攻を続けるロシアに対する経済制裁の強化などが確認された。