現在の国際社会の平和と安全に対する最大の脅威は、イスラム過激派であり、その中でも「国家」の樹立を宣言し、非人道的な蛮行を行っている「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」である。無実の日本人2人も彼らの残忍・卑劣なテロ行為の犠牲となっている。

日本が主導して国連軍を創設する好機

イラクの旧化学兵器工場、「テロ集団」が占拠 国連

ISILの戦闘員〔AFPBB News

 現在、中東のイスラム国家も参加する米国主導の有志連合はISILに対する空爆を行っている。しかし、有志連合の軍事力使用には、国際法上の疑義があるとして、有志連合への参加・協力をためらう国もある。

 国際連合の目的は、国際の平和および安全を維持するために有効な集団的措置をとることである(憲章第1条)。国連は、今こそ国連軍を創設すべきである。そして、日本は、主導してその決議案を提出すべきである。

 国際連盟の失敗を踏まえて創設された国連は、国連軍を核とする集団安全保障制度を導入し、戦勝五大国を常任理事国とする安全保障理事会に大きな責任と権限を付与し、かつ常任理事国に拒否権を付与した。

 しかし、常任理事国に拒否権を付与したことがあだとなり、拒否権が乱発され、集団安全保障制度は期待したように機能していない。

 国連軍に代わり、国際社会の平和と安全の維持に取組んできたのが国連PKO(平和維持活動)や多国籍軍(有志連合ともいう)である。

 多国籍軍は、憲章第7章に言及した安保理決議に基づき編成されるが、国連の指揮下にないなど国連憲章が予定していたものとは異なるため、多国籍軍の武力行使の法的根拠については、今日でも学説上の議論が見られる。