オーストラリア空軍が保有する空中早期警戒管制機(AEW&C)「E-7A」。AWACS機に指揮管制機能を加えたもの(2023年10月31日米フロリダ州で撮影、米空軍のサイトより)

1.高度な電子戦機器が突然出現

 北朝鮮の金正恩総書記は、3月25、26の両日、ある施設を視察した。

 朝鮮中央通信によると、現代の戦争においては知能化された高度技術兵器システム同士の対決という特徴がますます顕著になり、北朝鮮の無人航空技術連合体と探知・電子戦研究集団の役割を強めることが極めて重要であることを示したという。

 その中でも、私は、特に探知・電子戦研究集団において、偵察および情報収集手段と電子撹乱攻撃システムを視察し、その性能を確認したことに注目した。

 北朝鮮が同時に公表した写真は、ロシア軍の「A-50メンステイ」早期警戒管制機にそっくりの機体である。

 だが、北朝鮮はなぜか早期警戒管制機だとは言わず、「偵察および情報収集手段と電子撹乱攻撃システム」と表現している。

 北朝鮮は写真にある機体と内部について、実物完成には至ってはいないので早期警戒管制機という名称を使用していないのかもしれない。

 そこで、北朝鮮が公表した早期警戒管制機(AWACS)らしき機体(ここでは北朝鮮AWACSとする)が、本物の機能があるか、形だけ似せたものかどうかについて分析する。

写真1 上:北朝鮮AWACS、下:ロシアIL-76 A-50メンステイ

出典 上:朝鮮中央通信、右:ミリタリーロシア