
1.なぜ南西諸島間の海峡を通過するのか
中国海軍軍艦は通常、東シナ海から西太平洋に進出するには、南西諸島の間の海峡を通過しなければならない。
この制約は、特に潜水艦にとって大きな難関となる。
中国軍艦が南西諸島の間の海峡を通過するには、最も広い宮古海峡を通過することが容易で安全である。
このことから、中国の軍艦の多くはこの海峡を通過する。
ところが、最近の中国海軍測量艦は、南西諸島間の比較的狭い海峡を選んで通峡している。
屋久島・種子島の南のトカラ海峡の通峡は、日本の領海として設定されていることから、通過すれば領海侵犯となり、日中間の懸案事項になっている。
測量艦の通峡の具体的な例は、以下の図のとおりである。
写真:中国測量艦

図1 中国測量艦の海峡通過

2.潜水艦の通峡に必要な情報を収集
海軍所属の測量艦は、ソナーなどの測定機器を使って海底の地形、水中の情報、例えば、潮の流れ、うねり、海水温、塩分濃度などを調べることができる。
大型艦の空母が通過するためには、水深などの大まかな海底の地形が判明していればよい。
水深が浅い海峡であれば調べる必要があるが、潜水艦の通峡に必要とされるデータは、空母には必要ない。
図2 測量艦による海底地形調査のイメージ
海底の地形や水中の情報が必要な艦は、潜水艦だけだ。
図3 中国の潜水艦が日本の海峡を通過するイメージ

ということは、測量艦が通過している経路は、潜水艦が通る経路だと考えてよい。
比較的狭くて通峡が難しいところで、それが可能かどうか、どのように通峡するのかなどを調査している。