ロシア軍の装備は損耗が激しい(写真はクラスノダール地方で訓練中のロシア兵、2024年12月2日撮影、写真:ロイター/アフロ)

1.ロシア軍の奇妙でちぐはぐな攻撃

 ロシア軍は今、わずかな軍事目標達成のために、これまでにない最大の損失を出し続けている。

 ウクライナへの侵攻当初の攻撃実績などから見れば、当初ロシアはウクライナ全土の占領、あるいはキーウ政権を倒すという軍事目標を立てて攻撃していた。

 その時の兵士の損失は、現段階よりもはるかに少なかった。

グラフ ロシア軍兵士の損失推移と作戦段階

出典:ウクライナ軍参謀本部日々発表資料、ロシア軍の戦い方などを参考に筆者が作成。月の期間は、前月24日から当月23日までとしている

 侵攻当初のことを今思い返せば、ロシア軍としては壮大な地域範囲を攻撃し、「大きな損失が出た」と判断し、当初の作戦を変更し縮小したのだろうと思う。

 だが、現在の損失と比べると、損失は最も少なかったのである。

 侵攻当初の損失は月に5000人ほどであったのだが、ドネツク地域での「肉挽き攻撃」では、月に4から4.5万人の損失を出している。

 実に9倍である。