防空システムが機能しているはずの首都モスクワでもウクライナの無人機攻撃を受けて被害が続出している(写真は3月11日、無人機攻撃を受けたアパート、写真:ロイター/アフロ)

1.停戦受け入れないロシアに勝利もなし

 ロシアがウクライナに侵攻して、3年が過ぎた。

 ロシア地上軍は、各戦線で攻撃を続行しているが、ウクライナはそれらを踏ん張って食い止めている。その結果、ほとんどの戦線で、動きは少なく膠着状態に近い状況である。

 このような中、米国のドナルド・トランプ大統領は、ロシアとウクライナを説得し、停戦に向かわせようとしている。

 3月18日には電話による米露首脳会談が行われ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナのエネルギー施設への攻撃を停止することに唯一同意した。

 だが、西側がウクライナへのすべての軍事援助を停止しない限り、全面的な停戦には応じない姿勢を示した。

 ロシアが米国に指示された全面停戦案を事実上拒否したことになる。

 そして、地上攻撃、ミサイルと無人機による攻撃、空爆を続行している。ロシアのこれらの攻撃が止まらなければ、停戦には到達できない。

 ロシアは、戦闘で多くの兵員・戦車などの兵器の損失を出している。ウクライナが長距離無人機を開発してからは、エネルギー施設、兵器・弾薬庫が破壊されるようになった。

 ロシアは、これらの被害に大きな痛みを感じているはずだ。

 しかし、ロシアが止めたいと思ったのは、兵員や兵器の損失を考えてではなく、お金を生み出すエネルギー施設だけのようだ。

 ウクライナは30日間の停戦に合意し、その後ロシアがどう出るかが注目されている。

 ロシアのプーチン大統領は、ロシア兵がいくら死傷しようが、エネルギー施設が破壊され国民が凍えようが、動じないようだ。

 したがって、ロシアはこれからも戦闘を継続し、冷酷なプーチン大統領が動揺することはない。平和を求めて妥協することはしない。

 ロシアにとって有利な条件で停戦を進められない限りは、絶対にこの戦争をやめようとはしないように見える。

 ところで、ロシアには今後とも多くの損失を出しても戦闘を継続する戦力はあるのか、さらに戦争を継続する意味があるのだろうか。

 一方、ウクライナには、ロシアを停戦に向かわせるための方策はあるのだろうか。