5.エネルギー施設攻撃はウクライナの切り札
ロシアは、ウクライナの無人機攻撃に対処できず攻撃を受け、破壊され続けている。
プラントやタンクが破壊され、燃えて消滅し、掘削や製造ができなくなっている。
その被害額は、ロシアの財政に大きな影響を与えている。このことは戦費を賄えなくなるという意味でも、痛みは大きい。
ロシアとしては、ウクライナの無人機攻撃を何とかやめさせたいと考えていることは明らかである。だから、ロシアは、エネルギー施設攻撃を中止する案に合意したのである。
ロシアは、兵員や兵器の損失も大きい。
特に兵員の死傷者は、90万人(2025年3月21日まで)を超えた。この数もロシアにとっては痛いはずである。
だが、ロシアは地上攻撃をやめようとはしない。停戦協議に同意もしない。
つまり、プーチン大統領にとっては、兵士が100万人死傷しようが目的・目標を達成するためには、大きな問題ではないようだ。
ロシアのミサイル製造数は、減少傾向にあるもののおそらく月150基はできている。
無人機攻撃回数が急激に増加しているものの97.5%は撃墜あるいは無能化されている。ロシアは、ミサイルや無人機の製造に多くの費用をかけているため、大きな財政負担になっている。
ウクライナが、ロシアの地上攻撃を何とか阻止して、ミサイルや無人機の攻撃を撃墜し続ければ、また戦費を賄うためのエネルギー施設を破壊し続ければ、ロシアの財政は持たなくなるのは目に見えている。
ウクライナが、ロシアのエネルギー施設への攻撃を続けることが、ロシアの戦意喪失につながるものと考えられる。
したがって、停戦協議を進める場合は、ウクライナはロシアのエネルギー施設攻撃停止を条件にロシアの地上攻撃とリンクさせて交渉すべきであると考える。