4.戦果なきロシアのミサイル・無人機攻撃

 ロシアのミサイル月平均攻撃回数(ウクライナ軍参謀部がデータを2022年9月から公表)は約250発である。

 また、最近6か月(9月から2月まで)と同期間の平均を見ると、2022年9月~2023年2月の間は300発、2023年9月~2024年2月は約240発、2024年9月~2025年2月は約170発だった。

 グラフ2を見ると、ロシアのミサイル発射数が、逐次減少傾向にあることが分かる。

 また、2024年12月には約340発という多数弾を発射したが、翌月には50発という弾数に減少している。

 最近の2か月は、50発と100発の弾数であり、極端に少なくなっている(グラフ2の○)。ロシアのミサイル製造能力は減少傾向にあると言える。

グラフ2 ロシアミサイル攻撃発数の推移

出典:ウクライナ軍参謀部発表資料をグラフにしたもの

 ロシアのシャヘド型自爆型無人機の月間攻撃回数(出典同上)の推移を見ると、2024年7月までは概ね500機以下であったものが、その後、急激に増加している。

 特に、今年の2月の攻撃回数は約4000回である。攻撃平均回数500機以下だったものが、4000機近くまで、約8倍の数字まで増加している。

 ロシアの無人機攻撃が8倍に増加したからといって、ウクライナに対し8倍の攻撃効果があったのかというとそうではない。

 約4000機の攻撃のうち、撃墜できたのが約2300機(グラフ青色)、電子戦攻撃などで無能化できたのが約1600機(赤色)、撃ち漏らしたのが約100機(黒色)である。

 撃ち漏らした比率は、約2.5%である。

グラフ3 ロシアシャヘド型無人機の攻撃回数の推移

出典:同上

 ロシアは、発射した4000機のうち100機が目標近くに落下し、3900機が無駄になっているのである。

 ロシアの論理としては、100機でも目標近くに落下させられれば、ウクライナをいずれ消耗戦で敗北させられる一助となると考えているのであろう。

 ロシアは、ミサイルの代わりに製造費の安い無人機を多く製造・使用していると言える。

 ただし、ロシアがこの無駄な消耗に耐えられるのか。