トランプ大統領はプーチン大統領を「自分と同格の強者」とみなしているという(写真:AP/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「冷戦的対立構造」は「強者同士の共鳴」に一変

[ロンドン発]第1次トランプ政権で米国家安全保障会議欧州・ロシア担当上級部長を務め、共著『プーチンの世界 「皇帝」になった工作員』(新潮社)で知られるフィオナ・ヒル氏が米外交誌フォーリン・アフェアーズ(3月13日)のインタビューに応じている。

 ドナルド・トランプ米大統領が返り咲いてわずか2カ月で米露関係は一変した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が思い描いていた通りの展開になりつつある。かつての「冷戦的対立構造」は今や「強者同士の共鳴」という異様な様相を呈している。

 米ホワイトハウスでの首脳会談に準備不足のまま臨んだウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は致命的なミスを2つおかしたと米ブルッキングス研究所上級研究員のヒル氏は指摘する。プーチンの非道とウクライナへのバイデン前政権の約束を蒸し返したことだ。

トランプ大統領との会談で2つの致命的ミスを犯したゼレンスキー大統領(写真:ロイター/アフロ)

 米施政方針演説を控え、トランプ氏が成し遂げたことへの感謝の言葉を集めた動画が用意されていた。「ゼレンスキー氏もこの枠組みに収められるはずだったが、文脈を理解していなかった。彼は依然として何らかの安全保障の保証を交渉していると本気で考えていた」(ヒル氏)