和平2年後に再び紛争が起こる可能性が高い

 和平後半年から2年の間にロシアの脅威レベルは増し、ウクライナとの間で再び紛争が起こる可能性が高いとワトリング氏はみる。2年後には欧州はロシアの深刻な脅威に直面するという。3年に及んだ戦争でロシア軍の統合、複雑な攻撃の調整能力は著しい向上が見られる。国防産業も動員された。

 停戦違反があればロシアは欧州軍、特に欧州の航空戦力と対峙しなければならないという確信をウクライナに与えることが必要とワトリング氏は強調する。欧州空軍がロシアの防空システムの制圧と破壊を行い、欧州軍の非対称的な優位性を発揮できるかどうかが決め手になる。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。