
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)
トランプ・ショックの陰に隠れて
米トランプ大統領が日本も含めた世界各国に対して、これまで米国自身が旗印となってきた自由貿易に逆行する高関税を一方的に宣言してから、世界と自由経済は混乱している(むろん、同時にそうはいっても、アメリカは常に自国の利益最大化をゴリ押ししてきたことも明らかである)。
「トランプ・ショック」である。
すでに日本企業や日本社会にも大きな影響が出ている。北米市場をメインマーケットとし、日本の基幹産業でもある自動車産業への影響はビジネスにとどまらず、雇用などにも広がる可能性があるだけに深刻だ。
◎ホンダと日産 現地向け生産の一部 日本からアメリカへ移管 | NHK
もともと販売不振、経営不振にあえぐ日産は福岡県苅田町の工場で3万台規模の生産調整を行うという。
生産調整の意味するところは、雇用への影響だ。工場移転や閉鎖となれば、地域に与える影響は、工場で働く人を当て込んだ飲食店やサービス店、小売店、不動産など広範に及ぶ可能性があり看過できない。
◎マツダ、セカンドキャリア支援へ 工場の間接正社員などに割増退職金や再就職支援 500人募集|自動車メーカー|日刊自動車新聞電子版
マツダも2001年以来の早期退職者を募集するという。
確かに、国難の様相を呈している。
だが、かといって、「国政の宿痾」であるところの問題を棚上げしてよいというものではなかろう。
政治とカネの問題だ。