
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)
SNSと選挙、民主主義への危機感の高まり
SNSと選挙、民主主義の関係に対する危機意識が高まっていると感じる。
日本でインターネット選挙運動が導入されたのは、2013年のことだ。
この年、公職選挙法が改正され、インターネット等の普及状況に鑑み、選挙運動期間中における候補者に関する情報の充実や有権者の政治参加の促進などを目的として、ウェブサイトやSNS(ブログ、X(旧Twitter)、Facebookなど)、動画共有サービス(YouTube、ニコニコ動画など)を利用した選挙運動が解禁された。
具体的には、候補者や政党だけでなく、一般の有権者もウェブサイトやSNS等を利用して、投票日前日まで選挙運動を行うことが可能になった。
ただし、いくつかの現在にまで続く重要な制限も設けられている。一般有権者による電子メール(および携帯SMS)を利用した選挙運動は禁止され、これは候補者や政党等に限られた。また、未成年者の選挙運動も禁止されている。通常の選挙運動と同じである。
さらに、有料のインターネット広告については、候補者や政党等であっても禁止されたままである。
なお、ウェブサイト等に掲載された選挙運動用の文書図画は、選挙期日当日もそのまま残しておくことが認められた。この解禁により、屋内演説会場での映写等も可能になった。
そして何より、重要な点として、この改正はあくまで「選挙運動」の解禁であり、インターネットを通じた「投票」が可能になったわけではない。