自身が作った「切り抜き動画」を指し示す男性=4月、東京都内(写真:共同通信社)

(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

規制強化方針が与える負の影響

 先週、インターネットと政治を巡る諸問題、とりわけ政治・選挙関連コンテンツの「収益化オフ」という新たな規制の動きが、表現の自由と如何なる線引きの下に行われるべきか、という論点を取り上げた。

いよいよ検討され始めた政治・選挙系コンテンツの「収益化オフ」、表現の自由との線引きはいったい誰が決めるのか? 【西田亮介の週刊時評】 

 ネット選挙の解禁以降の経緯を概観しつつ、「収益化オフ」が内包する課題、すなわちコンテンツ・モデレーションの基準やプロセスの不透明性、海外に拠点を置くことも少なくないプラットフォーム事業者の自主的判断や「政治コンテンツ」の機械的判定への過度な依存、そして規制の実効性に対する懐疑などを指摘した。

 また、この動きが政治メディアやジャーナリストの経済的基盤を揺るがしかねない危険性や、日本特有の選挙制度改革における政党間合意形成の困難さ、特にデジタル分野における規制強化の合意形成が難航するであろうことにも言及した。

 本稿では、こうしたデジタル分野における規制強化の潮流が、とりわけ日本における政治的挑戦者、すなわち新興勢力や少数意見を持つ人々に対し、いかなる負の影響を及ぼしうるのか、その是非をも含めて考察する。