野党が「一時休戦」を望む理由
ひとつは「野党は批判ばかり」と言われたくないのだ。
しかし、そうかといって提案型に振り切っているわけでもない実に中途半端な状態だ。
筆者は少し前に、野田代表に「減税額が(自公国のあいだで)議論され、国民の関心も向くなかで、立憲民主党は減税額を打ち出さないのか?立憲民主党も議論に参加するべきではないか?」という趣旨のことを尋ねたことがある。
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要は「提案をしないのか」という質問である。
ところが、手を変え品を変え尋ねてみても、「野党第一党としての責任があり、無責任な主張はできず、政府与党の出方を見て主張するべきことを主張する」というばかりであった。
確かに野党第一党には、政府や与党を監視する責務がある。そうであれば、政治とカネの問題においてこそその本領を発揮すべきではないか。
政治とカネの問題が宿痾としている現状も国難であろう。そもそも野党がトランプ・ショックに対してできることはほとんどない。実際、何か独自外交の成果や提案を通じて、トランプ・ショック対策に貢献したという発信は聞こえてこないままだ。
もうひとつは、うがった見方をすれば、トランプ・ショックで行き詰まる石破政権に、政治とカネでムチを打ちたくないのだ。
刻々と迫る初夏の都議選、参院選を石破総理で迎えたいのではないか。追い詰めすぎて解散に踏み切られると、案外、困るのは候補者擁立が十分ではない立憲民主党かもしれない。