習近平主席(写真:新華社/共同通信イメージズ)
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 12月17日に閉幕した臨時国会は、高市早苗新首相にとって、かなり手応えがあったに違いない。何せ政府が提出した11本の法案は、すべて通過させ、手腕を見せつけたのだから。

高市首相の臨時国会、「存立危機事態」発言は最大の「傷」

 新たに連立を組んだ日本維新の会が強く求めていた衆議院の議員定数削減法案は継続審議となったものの、連立つなぎ止めには成功した。加えて、国会閉幕後の18日には、「103万円の壁」を178万円に引き上げると発表し、この公約を前面に掲げていた国民民主党をも引きつけた。

 このことで、年明けの通常国会での新年度予算審議に、大いに弾みがついた。さらに、連立離脱をチラつかせる維新への牽制にもなる。

 それでは高市新首相にとって、臨時国会は「満点の出来」だったかと言えば、そうとも言えない。最大の「傷」となったのが、11月7日の衆議院予算委員会で、「台湾有事と存立危機事態」について発言したことだった。

 伝え聞くところによれば、中国は11月13日、怒り心頭の習近平主席からの厳命で、「絶対に発言を撤回させる方針」を定めたという。そうして1カ月以上にもわたって、周知のように、日本へ向けた「戦狼(せんろう)外交」(狼のように戦う外交)を続けたのである。

 12月17日、高市首相は、国会の閉幕を受けて行った会見で、中国についてひときわ強調した。

「中国は、日本にとって重要な隣国であり、建設的かつ安定的な関係を構築していく必要があります。他方、日中間には、経済安全保障を含む安全保障上の懸念事項が存在しています。率直に対話を重ね、『戦略的互恵関係』を包括的に推進していきたいと思います。

『存立危機事態』に関する私の答弁は、日本政府の従来の立場を変えるものではありません。この点を、様々なレベルで、中国及び国際社会に対して、粘り強く説明していく考えです」

 この発言は、高市首相として、「答弁は政府の従来の立場と変わらないと言っているのだから、もうこれで揉め事はお開きにしよう」という、中国へ向けたメッセージだったと捉えてよいだろう。

 では中国側は、これにどう応じたか? 翌18日、中国外交部の郭嘉昆報道官は、今度は日本の防衛問題に対して、激しく噛みついた。