中国の習近平総書記(写真:代表撮影/Best Image/アフロ )
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 台湾有事に関する11月7日の高市首相の答弁をきっかけに悪化してきた日中関係は、1カ月以上経っても、一向に改善の兆しがない。なぜ、中国は強硬姿勢をとり続けるのか。その答えを探るために、習近平主席の思想と行動について検討してみたい。

首相の台湾有事発言による経済的被害、ますます拡大

 中国の対日抗議行動は、軍事面にも及んでいる。12月6日午後、沖縄本島南島の公海上で、中国軍機が自衛隊機に対してレーダー照射を行った。これは危険な行為であり、日本政府は中国に抗議した。

 このような行為をきっかけに軍事的衝突に至るようなことがあれば、日中関係は修復不能な状況に陥ってしまう。

 人的交流も阻害され、経済的な被害も拡大している。

 中国政府は、国民に日本への渡航自粛を呼びかけ、留学も止めるように勧告している。そのため、日本と中国を結ぶ航空便も減便され、観光業界などへの被害も拡大している。

 とくに関西地域への影響が大きく、団体バスツアー会社、ホテル業界などキャンセルが相次いでいる。関西国際空港では、11月の中国との発着回数は1割減り、12月は3割減となりそうだ。その他の地方でも、同様なマイナスが生じている。来年の春節までこの傾向が続けば、さらに被害は拡大する。

高市早苗首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ )

 また、日本映画の『クレヨンしんちゃん』と『はたらく細胞』の公開が延期となり、『鬼滅の刃』は11月14日から公開されていたが、12月11日には終了した。また、浜崎あゆみのライブなど、様々なエンタメやイベントも中止や延期に追い込まれている。