習近平にとっての台湾

 2007年10月の第17回党大会において、政治局常務委員(党務担当)の座に就いたのは、胡錦濤派で共青団出身の李克強ではなく、習近平であった。それは、李克強の評判が悪く、地方での業績も芳しくなかったのに比べ、習近平は、福建、浙江、上海と、沿岸部で業績を上げていたからである。

 習近平は、福建省の厦門市副市長(1985~1988年)、寧徳地区党委員会書記(1988~1990年)、福州市党委員会書記(1990~1996年)、福建省党委員会専従副書記(1996~1999年)、福建省長(1999~2002年)と17年間にわたって福建省で勤務した。

 福建の対岸は台湾であり、習近平の台湾への思い入れは、この福建省勤務のときに増幅されたと言って良い。

 ちなみに、現在外交部長として中国外交の重責を担っている王毅は、2008年6月3日に党中央台湾工作弁公室と国務院中央台湾工作弁公室の主任に就任した。旧友である王毅と私は、当時、北京で再会したが、彼は台湾問題にかかりきっており、夜遅くしか会えなかったことをよく覚えている。

 2013年3月、習近平政権下の李克強内閣で外交部長に就任したのも、台湾問題に深く関わってきたことがプラスに作用したからだと思っている。