1月6日、トランスジェンダーの重量挙げ選手の物まねをするトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)
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 新年早々に、驚くべき事態が発生した。1月3日未明、米軍はベネズエラを急襲し、マドゥロ大統領夫妻を拘束してニューヨークに移送したのである。麻薬密輸などの容疑で、アメリカで裁くためだという。さらに、トランプ大統領は、隣国コロンビアをも標的にしている。また、デンマーク領のグリーンランドを領有する以降も明らかにしている。トランプは、世界をどう変えたいのか。

親米国から反米国へ変質していたベネズエラ

 米軍は、4カ月前から今回の軍事作戦を周到に準備してきたという。それだけに、短時間に目を見張るような“成功”を収めた。

 トランプ政権は、麻薬の密輸に関与しているとして、マドゥロ政権への圧力を強め、空母打撃群を展開し、麻薬密輸船を攻撃したり、タンカーを拿捕したりしてきた。

 しかし、それにとどまらず、マドゥロ大統領の拘束、アメリカへの移送にまで踏み切ったのはなぜか。

1月5日、ニューヨークでの裁判に初出廷するため、マンハッタンのダウンタウンにあるヘリポートに到着したマドゥロ大統領(写真:ロイター/アフロ)

 まずは、自らの裏庭と称す地域で、反米的な政権の存続は許しがたいということである。キューバ、コロンビア、メキシコなどの左翼政権を目の敵にしている。

 そして、何よりもベネズエラの石油である。世界一の埋蔵量を誇りながら、生産量は世界のわずか1%である。反米国家に変わる前の親米国家時代には、メジャーが参加する潤沢な石油生産国であり、豊かな国だった。

 トランプは、ベネズエラの石油をアメリカが管理し、売却代金は、アメリカとベネズエラで山分けするという。この石油は中国向けに輸出される予定であった。アメリカは、ベネズエラから最大19億ドル(約3000億円)の原油を引き取る予定である。

 また、米軍は、1月7日、北大西洋でロシア船籍のタンカー1隻を拿捕したが、このタンカーはロシアやイランの制裁逃れに使われていたという。また、カリブ海でも制裁対象のタンカーを拿捕した。

 ベネズエラでは、反米左派のウゴ・チャベスが1992年にクーデターを起こし、1999年に大統領に就任した。その結果、アメリカや(当時は)親米の隣国、コロンビアとの対立が激化した。

 2013年にチャベスががんで死去すると、副大統領のニコラス・マドゥロが後継大統領となった。ベネズエラは世界有数の産油国であったが、原油価格の下落などもあって、インフレなど経済情勢は悪化していった。政治的には、マドゥロは、憲法を無視して独裁をさらに強化していった。