左派が政権にある国々

 ブラジルでは、2022年10月3日の大統領選挙で、元大統領のルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバが、現職のジャイル・ボルソナロに勝った。

 左派で貧困層から支持されたルラは、ボルソナロ政権下で悪化した対中関係の改善に乗り出した。昨年4月中旬に中国を公式訪問し、習近平と首脳会談を行い、両国関係を強化することを確認した。また、BRICSが創設した新開発銀行に期待を示し、IMFやドルが支配する世界を批判した。ウクライナ戦争についても、ロシアの侵略を非難するとともに、アメリカとEUが戦争を煽っているとして批判し、停戦実現に努力すべきだとした。

 メキシコでは、2018年に初の左派政権が誕生したが、2024年6月の大統領選挙で、中道左派の与党、MORENA(国家再生運動)の前メキシコ市長のクラウディア・シェインバウムが、中道右派のPNA(国民行動党)のソチル・ガルベス上院議員を破って当選した。女性初の大統領である。

 メキシコは、中南米諸国からの移民の問題や、また合成麻薬フェンタニルなどの麻薬問題で、アメリカから圧力を受け続けている。

 ウルグアイでは、2024年11月の大統領選決選投票で、野党で中道左派のヤマンドゥ・オルシ候補が、与党候補を破って当選した。左派は、5年ぶりの政権復帰である。

 ペルーでは、2021年4〜6月に大統領選で、左派のカステイジョが右派のケイコ・フジモリに勝利している。2022年12月に大統領罷免決議が可決され、後任にボルアルテ副大統領が就任した。中国との関係を緊密化している。

 以上は穏健な中道左派であるが、ベネズエラ、キューバ、ニカラグアは反米色の強い左派政権である。

 中南米では、中国が外交攻勢をかけ、台湾との断交・中国との国交樹立を画策した。2007年にコスタリカが、2017年にパナマが、2018年にドミニカ共和国とエルサルバドルが、2021年にニカラグアが、2023年にホンジュラスが台湾と断交し、中国と外交関係を結んでいる。

 2026年には、コロンビア、ペルー、ブラジルで大統領選が行われるが、今回の米軍のベネズエラ侵攻がどのような影響をもたらすか注目したい。