トランプ大統領(写真:ゲッティ=共同)
[ロンドン発]ドナルド・トランプ米大統領がデンマーク自治領グリーンランドを担当する特使に米ルイジアナ州のジェフ・ランドリー知事(共和党)を任命した。ランドリー氏は「グリーンランドを米国の一部とするため無償であなたに仕えることを光栄に思う」とXに投稿した。
「出遅れれば北極圏が中露の海に」との危機感
トランプ氏は自ら立ち上げたトゥルース・ソーシャルへの投稿で「ジェフはグリーンランドがわが国の国家安全保障にとっていかに重要であるかを理解しており、同盟国、世界の安全、安心、そして存続のためにわが国の利益を力強く推進してくれるだろう」と期待を寄せた。
今年3月、ホワイトハウスにおいてトランプ大統領を前に演説するルイジアナ州知事のジェフ・ランドリー氏(写真:Pool/ABACA/共同通信イメージズ)
地球温暖化で北極圏の氷が溶け、中露の船舶がグリーンランド周辺で存在感を急拡大させる。「もたもたしていれば北極圏が中露の海になる」という危機感がトランプ政権にある。グリーンランドはもはや安全な後方地域ではなく、直接的な脅威にさらされる最前線になった。
トランプ政権の国家安全保障戦略はグリーンランドを含む北米・南米を一つの「影響圏」とみなす。麻薬阻止作戦を大義名分にしたベネズエラへの圧力と並行してグリーンランド特使を置くことで米国の庭先である西半球で中露の介入を許さない姿勢を鮮明にした形だ。