米国はAI産業と国防の両面で中国製バッテリーに危機的なほど依存

 氷が溶けることで潜水艦や水上艦の活動範囲が広がり、中露の進出が活発化している。米国はピツフィク宇宙軍基地(旧チューレ空軍基地)などの拠点を再評価し、監視能力の強化を急ぐ。米国にとってグリーンランドの資源は経済的利益にとどまらず、国家安全保障に直結する。

 現在のハイテク・防衛産業は中国が供給網の大部分を握るレアアースに依存する。グリーンランドにはミサイル誘導装置、レーダー、戦闘機のエンジン、電気自動車(EV)のモーターに不可欠なテルビウム、ディスプロシウムといった重希土類が大量に眠る。

 グリーンランドを開発・確保できれば有事の際に中国から供給を遮断されるリスクをゼロに近づけられる。米紙ニューヨーク・タイムズ(12月23日付)は米国がAI(人工知能)産業と国防の両面で中国製バッテリーに危機的なほど依存している現状を伝えている。

 脱炭素化だけでなくバッテリー材料の確保は死活問題。AI産業を支えるデータセンターは膨大な電力を消費する。わずかな電圧の変動がAIコードの破損を招くため、バックアップ用の巨大なリチウムイオン電池が不可欠だ。