グリーンランド自治政府首相は拙速な独立には極めて慎重
「経済的な自立なくして真の独立なし」という現実的な住民によって今年3月の自治議会選挙の結果、選出されたグリーンランド自治政府のイェンス=フレデリック・ニールセン首相はこう反応した。ニールセン氏は経済的基盤が整わない状態での拙速な独立には極めて慎重だ。
「自分たちの未来は自分たちで決める。グリーンランドはグリーンランド人のものであり、領土の一体性は尊重されなければならない。米国などの国々と協力する意思があるが、あくまで互いの主権を尊重し合うことが条件だ。私たちは売り物でもなければ誰かのチェスの駒でもない」
温暖化はグリーンランドを「氷に閉ざされた未開の地」から「世界のエネルギー安全保障と地政学の最前線」へと変貌させた。氷床の融解が資源開発の門戸を開き、軍事的な緊張を高める要因にもなっている。国家間のパワーバランスも劇的に変わった。
氷床融解でアクセス不能だった鉱床調査が可能になった。夏季の海氷減少で掘り出した資源を運ぶ船舶の航行期間が延び、輸送コストが低下。ロシア沿岸の北東航路やカナダ側の北西航路が開放されつつあり、グリーンランドは北極海航路の戦略的ハブとして価値を高める。