次期FRB議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏(2017年資料写真、写真:ロイター/アフロ)
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(英エコノミスト誌 2026年2月7日号)

米国資産の保有者は「慣れる」しかない。

 この1年、米国のドナルド・トランプ大統領は同盟国を関税でいじめ、連邦準備理事会(FRB)を脅し、財政赤字を単にうっとうしいもののように扱った。

 しかし、ほとんどの資産市場では、何も問題がないかのごとく、のんきな展開が続いた。

 投資家が人工知能(AI)関連銘柄にどっと押し寄せたことで、S&P500種株価指数は過去12カ月間で14%上昇した。

 米国の経済成長は今でも世界中の憧れの的だ。

 インフレやデフォルト(債務不履行)のリスクとともに上昇するはずの米国債10年物利回りは現在4.3%で、トランプ氏が大統領就任式の宣誓を終えた時の水準を下回る。

頻発する投資家のパニック発作

 しかし、目を凝らすともっと陰鬱で複雑な光景が見えてくる。

 いろいろな通貨と米ドルとの交換レートを加重平均して算出するドル指数は2025年1月のピークから10%下落している。その結果、外貨建てで見た米国資産のパフォーマンスはお粗末だ。

 例えば、ここ1年間の米国株のパフォーマンスをユーロ建てに引き直すと、辛うじて上昇しただけになる。

 米ドルの下落は、米国とほかの国々との金利差が縮小していることの反映でもある。だが、本誌エコノミストが今週の特集記事で指摘しているように、米国の制度・機関も不安をもたらす原因になっている。

 最近では、2025年4月にトランプ氏が「解放の日」関税の導入を発表した直後のような投資家のパニック発作がよく起きる。

 投資家はそういう時に米国の資産を放り出すため、債券、株式、通貨がそろって値下がりする。

 このトリプル安は普通、新興国で頻繁に起きるもので、それが過去52週で7回も発生している。それ以前の10年あまりに比べおよそ3倍に増えた格好だ。