衆院選での歴史的大勝から一夜明けて記者会見する高市早苗首相(2月9日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(英エコノミスト誌 2026年2月14日号)
今後数年間で日本の政治をがらりと変える非凡な勝利
若き日の高市早苗氏はオートバイが好きで、面接の会場に愛車のカワサキで乗り付けたこともあった。その高市氏が今度は日本の首相として、大胆にリスクを取る能力を発揮した。
人気のない自民党を自分自身の人気でテコ入れすることを期待し、二院制の国会で優越が認められている衆議院を解散し、2月8日投票の総選挙に打って出たのだ。
この賭けが的中し、自民党は戦後日本の選挙史上最大の勝利を収め、3分の2超という「圧倒的多数」の議席を手に入れた。
この目を見張る選挙結果は、今後数年間で日本の政治をがらりと変える可能性を秘めている。財政ハト派で防衛タカ派の高市氏は今や多大な信任を手にしている。
これで党内で反旗を翻す可能性のある議員は黙り込むだろう。ここ数年よろめいていた自民党は揺るぎない地位を取り戻した。
今後は立法部門を牛耳ることができる。自民党が過半数を握っていない参議院で法案が否決されても、衆議院で再可決すれば成立するからだ。
それこそ、排気量50ccのスクーターから高性能のカワサキにグレードを上げたようなものだ。
高市氏はこれで、日本を再びレースに参加させるチャンスを得た。だが、その行く手には障害物が待っている。
当の自民党さえも衝撃を受けた大勝
高市氏の勝利の規模には当の自民党関係者でさえ衝撃を受けた。
選挙戦に入った時に自民党とその連立相手が持っていた議席は、定数465議席の半分をわずか1議席上回るだけだった。
昨年10月に首相になった高市氏の支持率は高かったものの、自民党はスキャンダル続きでイメージがガタ落ちだった。
高市氏は選挙の勝敗ラインを「連立与党で過半数維持」に設定した。ところが、ふたを開けてみると、自民党はすべての地域とすべての年齢層で大勝し、単独で316議席を獲得するに至った。
本当はあと14議席得られるはずだったが、比例代表名簿に載っている候補者が足りず、辞退せざるを得なかったほどだ。
(日本の衆議院議員の約60%は最多得票者のみ当選とする小選挙区で、残りは比例代表制で選ばれる)
自民党は今、大勢いる新人議員の研修で大わらわだ。「ものすごい数の1年生が教室に入ってくる」と同党のある議員は話している。