トランプは、副大統領を務めてきたデルシー・ロドリゲスと協力する意向を示している。ロドリゲスは社会主義者である。マドゥロのアメリカ移送後、ロドリゲスは暫定大統領に就任した。

 トランプは、ベネズエラのみならず、麻薬密輸対策に消極的な反米政権として、左派のコロンビアやメキシコの政権を批判している。

中南米各国の情勢

 中南米諸国では、反米左派の政権ができたり、親米政権ができたりしてきたが、最近は右派が復調している。

 たとえば、チリでは、2025年12月14日に大統領選挙の決選投票が行われ、野党で右派のホセアントニオ・カスト候補(59歳、元下院議員)が、与党で左派のジャネット・ハラ(51歳、前労働・社会保障大臣)に勝利した。チリも不法移民に悩んでおり、その不安と不満が、国境に壁を建設するなどの厳しい移民対策を主張するカストを当選させたのである。不法移民の75%がベネズエラ出身者である。ベネズエラ独裁の影響が、ここまで及んでいる。

 ホンジュラスでは、2021年11月の大統領選で左派に政権が交代したが、2025年11月30日に大統領選挙が行われた。選挙の結果、与党の左派のモンダカ候補、野党で中道右派のアスフラ候補、野党で中道左派のナスララ候補が競り合ったが、親米派のアスフラが勝った。

 また、ボリビアでは、2025年10月19日に大統領選が行われ、野党で中道派のロドリゴ・パス議員(58歳)が、右派のホルヘ・キロガ元大統領(65歳)に勝ち、20年間続いた左派政権に終止符を打った。ただ、一気に右派に移行するのを有権者は避け、中道右派を選択した。

 左派で与党のMAS(社会主義運動)から出馬した候補は、第一回投票で6位にとどまった。

 最近の例では、以上の3カ国で左派政権離れが起こったのである。

 2025年4月に決選投票が行われたエクアドルの大統領選挙では、親米右派の現職大統領が、反米左派のルイサ・ゴンザレスに勝っている。

 2024年5月のパナマの大統領選挙では、中道右派のホセ・ラウル・ムリノが当選した。

 2024年2月のエルサルバドル大統領選挙では、現職の中道右派のナジブ・ブケレが圧勝した。

 アルゼンチンでは、2023年11月19日に大統領選の決戦投票が行われ、右派でリバタリアン(自由至上主義者)のハビエル・ミレイ下院議員が、与党連合の中道左派セルヒオ・マサ経済相に勝利した。

 ミレイは、「アルゼンチンのトランプ」と呼ばれているが、トランプはミレイの当選を大歓迎した。

 2023年4月30日に投票が行われたパラグアイ大統領選挙で、右派で与党のサンティアゴ・ペニャ候補が当選した。その結果、台湾との外交関係を維持することが決まった。野党連合の中道派で元下院議長のエフライン・アレグレ候補は、農産物の輸出拡大のため、中国と外交関係を樹立することを主張していた。

 パラグアイは、南米大陸で唯一、台湾と外交関係を持つ国である。今、世界で13カ国が台湾と外交関係を持っている。