公明党はクリーンを掲げ続けられるのか?
迫る選挙は、政治とカネにクリーンであることをたびたび主張してきた公明党にも影を落としている。
公明党は参院選における裏金疑惑議員3名の推薦を決めたという。
◎公明、自民「裏金」3氏推薦 参院選で初、与党の結束重視:時事ドットコム
この記事によれば「公明の党員・支持者に対し、問題に関する十分な説明、再発防止の強い意志表明がなされた」のだという。推薦されたのは旧安倍派所属の宮本周司氏(石川)、西田昌司氏(京都)、堀井巌氏(奈良)の3名である。
しかし、今年に入ってからも政治倫理審査会が開催され、昨年は明らかになっていなかった「既に政界引退した人物」が主導したのではないかということが報じられるようになった。
とても政治とカネの問題が解決され、十分な説明がなされたという局面ではないだろう。
公明党は先の総選挙でも自民党の裏金疑惑議員たちを多く推薦した。
◎自民だけじゃない、公明も「裏金」にずいぶん優しくないか?重い処分が下された候補者も多数推薦、まさかの寛容さ 【西田亮介の週刊時評】 | JBpress
公明党の比例票減や選挙区での「惨敗」の理由は自明ではなく恐らく複合要因だが、政治とカネの問題解決に率先して取り組むということを言いながら、裏金疑惑議員らを推薦する矛盾も無関係とはいえないはずだ。
このとき、参院選に対する公明党の言い分も、衆院選同様に少なくとも支持層以外にはほとんど通じず、説得力を持たないのではないか。

個別の選挙区事情や、他の政党が自民党に接近しかねない少数与党の今こそ自公の結束を強めたいという事情があるにしてもあまりに拙速だ。
これでは「政治とカネにクリーンな公明党」をやはり支持層以外にアピールすることは難しいだろう。むしろ潔癖で知られる公明党支持層も再び拒否反応を示すのではないか。
こうしてみると、今回の裏金疑惑議員の推薦には、先の衆院選の反省が活かされているとはいえず、また政治とカネの問題解決に積極的に取り組んできた公明党の過去の実績にも水を差すと思われるだけに率直にいって残念だ。失われた信頼を取り戻すためには、また長い積み直しが求められることだろう。
トランプ・ショックが国難であることはまごうことなき事実だ。
だが、政局と選挙事情で政治とカネの問題を棚上げするような政党や政治家を、有権者がそれほど簡単に信頼することはないだろう。
それぞれ別の問題なのだ。
選挙も遠くないだけに、改めてそれぞれの政党、政治家が「政治とカネ」の問題にどのように向き合い、発言し、行動するのか注視し、また読者諸兄姉と議論を共有したい。