株価が乱高下している(写真:共同通信社)

4月に新生活を迎え、資産運用をスタートした人もいるかもしれない。オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式 オール・カントリー)やS&P500(米国の代表的な株式指数の一つ)連動といったインデックス型投資信託の積み立てを勧める投資本や記事も目立つ。だが、昨今のトランプ関税ショックによる相場の下落で、早くも痛手を被っている投資初心者も少なくないだろう。はたして、投資初心者は「インデックス積立一択」がいいのだろうか。『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』(ダイヤモンド社)の著者でつばめ投資顧問の栫井駿介代表に、長期投資の心構えを聞いた(取材日:2025年4月3日)。2回に分けて掲載する。

(種市 房子:ライター)

(前編)「専門家が推奨する銘柄は買いですか?」トランプ関税で株価乱高下の今こそ知りたい長期投資の極意

保有1年、株価下落はあなたのせいでない

——2024年は新NISA(少額投資非課税制度)の導入もあり、新たに投資を始める人が急増しましたが、トランプ関税ショックによる相場の下落で保有銘柄の評価損益がマイナス、あるいは思うように伸びないと悩んでいる個人投資家も多いと思います。まず、不安に駆られている投資初心者には、どんなアドバイスをしますか。

栫井駿介氏(以下敬称略):投資期間と株価の変動要因に関する、興味深い調査があります。たとえば、投資してから最初の1年間の株価は、金利の影響を20〜30%ほど受けるとされています。そして、残りの70〜80%については「不明」とされており、企業の業績が株価に与える影響は、この期間ではごくわずかにすぎません。

栫井 駿介(かこい・しゅんすけ) つばめ投資顧問代表 長期投資YouTuber。東京大学経済学部卒業、豪BOND大学MBA修了。大手証券会社に勤務した後、2016年、つばめ投資顧問設立。現在は800人超の個人投資家向けに長期投資のアドバイスを行っている。YouTuberとしても活動し、登録者は16万人。近著『買った株が急落してます!売った方がいいですか?――株で利益を出す人の考え方』(ダイヤモンド社)。

 つまり、1年程度の投資期間では、業績が良いのに株価が下がることが当たり前に起こるのです。しかし、長期になるほど株価に及ぼす業績の影響が大きくなり、10年後の株価の変動要因の6割を業績が占めるようになります。

——悪材料が出た時を「逆張りのチャンス」と見る投資家も多いです。株価が下落しているいま、「逆張り」は有効でしょうか。