いまこそ「逆張り」?
栫井:不祥事や業績の大幅悪化で株価が急落した銘柄は、「また何か悪いことがあるのでは」と厳しく見られて、再度、悪材料が出ることがよくあります。「割安」だと判断して買ってもさらに下落してしまうのです。私自身も逆張りがうまくいかず泣く泣く損切りした経験があります。
——そうなんですね。逆張りで苦戦した経験から、投資初心者には何を伝えますか。
栫井:「目先の株価に惑わされて投資してはいけない」ということを強調したいです。先ほど触れたように、企業業績が株価に反映されるのには数年かかります。それなのに、目先の株価の上下動に一喜一憂してしまっては、投資の果実は得られません。
——ただ、企業価値の見極め、個別銘柄の分析は、投資初心者にとっては負担が重そうです。結局、「オルカン」などインデックス投信は手数料が低い割には長期パフォーマンスも上昇基調とされており、投資初心者にとっては個別銘柄を買うよりオルカンなどに投資した方が効率的に見えます。この認識は正しいでしょうか。
栫井:それは、YouTubeで頻繁に受ける質問です。おっしゃる通り、個別銘柄について、自分で調べるのが面倒だという人は、インデックスファンドが向いているのではないでしょうか。
他方、「自分で株を選んで、インデックスよりも大きなリターンを目指したい」という人は、個別銘柄にチャレンジする価値はあると思います。もちろんその過程では、「株価が伸びない」「もう売ってしまおう」と悩むこともあるでしょうが、それは一人前の投資家になるための成長痛と言えるでしょう。
——インデックスより大きなリターンを目指したい、でも、個別銘柄の分析には自信がない。でも、大きなリターンはほしい…そんな堂々めぐりに陥っている人も少なくなさそうです。