
米トランプ政権の関税発動によって世界的に株式相場が乱高下している。『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』(ダイヤモンド社)。市場参加者から聞こえてきそうな悲鳴が、そのままタイトルになった著書を3月に出したつばめ投資顧問の栫井駿介代表に、長期投資に臨む心構えや注目の銘柄を聞いた(取材日:2025年4月3日)。
(種市 房子:ライター)
(後編)「結局、素人はインデックスで積立が最強?」トランプ関税ショックでオルカンやS&P500に痛手、長期投資の心構えとは
「保有株が下落、売った方がいいか」
——まず本題に入る前に、栫井さんはご自身で立ち上げたつばめ投資顧問で、どのような活動をしているのですか。
栫井駿介氏(以下、敬称略):新卒で証券会社に入ったのですが、業界全体の問題として、個人投資家に大切な投資知識を伝えていないと感じていました。そこで、独立して2016年につばめ投資顧問を立ち上げました。個人投資家の方に長期投資の魅力を知ってほしいと思い、その入り口としてYouTubeで個別銘柄の分析をしています。
——どんな動画が人気ですか。
栫井:話題の銘柄分析や投資についての心構えなどです。3月に公開した動画では「1年で30%下落!信越化学はなぜ下がる?買い時は?」「【米景気減速】買いたい銘柄/買ってはいけない銘柄」の再生回数が多かったです。本格的に長期投資を学びたいという方が、当社の有料サービスを利用しています。

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——どのような質問が寄せられるのでしょうか。
栫井:「保有している株が下落している。どうすればいいのか、売った方がいいのか」といった相談は頻繁に持ち込まれます。こうした相談では、その銘柄がYouTubeやX(旧ツイッター)などで話題になった時点で高値圏で飛びつき、下落が始まった後も売り時を逃したというパターンが多いです。
——やはり、保有株の下落は気が気ではないですよね。まさに昨今の株式相場の状況ではそのような質問も多いかと思いますが、こうした質問にはどのようなアドバイスをしていますか。