
(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)
プロ野球・日本ハムの本拠地、札幌市に隣接する北広島市で2023年にオープンした新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」を核としたまちづくりが加速する。球場を中核施設とする「北海道ボールパークFビレッジ」は、2024年の年間来場者が400万人を突破。このうちの約半分はプロ野球の公式戦以外に訪れた。
「試合のない日」もにぎわいを創出するスタジアムやアリーナは、近年の全国的なトレンドになっている。日本のボールパークは2000年代に「勝たなくても客席が埋まる」時代にシフトしたが、そこからさらに進んで「試合がなくても人が来る」時代へと潮流が変わってきた。
ホテルやサウナも
「世界がまだ見ぬボールパーク」というスローガンを掲げたエスコンフィールドを核としたまちづくりは、第三セクターの札幌ドームを本拠地として間借りしていた日本ハムの悲願だった。
総工費約600億円をかけた自前の球場は、外野スタンドにホテルや温浴・サウナ施設を設け、敷地内にはグランピング施設や子どもの遊び場、農業学習施設なども整備。試合がない日は外野エリアに無料で入場できる。
球場がある敷地面積約32万平方メートルの巨大複合施設・Fビレッジ内には開業2年目の24年にサービス付き高齢者向け住宅、医療モールもオープンし、27年には外資系ホテルが進出する。
25年3月には、現在の球場最寄り駅・JR北広島駅に直結する商業施設「トナリエ北広島」が開業。上層階はホテルが入るほか、コワーキングスペースや会議室も設けて、ビジネス客も取り込む。
28年夏には球場まで徒歩4分の場所に新駅が完成し、新駅近くには大手ゼネコンの大林組が地上36階、高さ約130メートルのタワーマンションを建てる計画が明らかになった。Fビレッジには学生数約3500人の北海道医療大学のキャンパスも移転予定で、エスコンフィールドを中心とした周辺一帯に新たなまちができ上がっていく。