
(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)
プロ野球の2軍が新たな本拠地へ移転する動きがここ数年で顕著になっている。3月1日には、巨人が既存の読売ジャイアンツ球場に隣接する場所に建てた新スタジアムを、阪神も同じ兵庫県内で西宮市から尼崎市に移した新たな球場をそれぞれ開業する。
ほかにもヤクルトが埼玉県戸田市から茨城県守谷市へ2年後に移転を予定。ロッテも今年3月までに現在のさいたま市から千葉か茨城のいずれかの自治体に移転することを最終決定する。
中日と日本ハムも移転の検討に入った。ソフトバンクはひと足先に2軍本拠地を移転させて施設などを充実させている。オリックスは2軍の育成力強化が1軍の成績向上の一因となっている。
2軍施設の移転により育成環境を充実させることは、自軍の強化につながるだけではない。日本のアマチュア有望株にも食指を伸ばしてきた米大リーグへの対抗策としての意味合いも出てくる。日本のプロ野球(NPB)全体としても、将来に向けた欠かせない投資となっている。
総事業費250億円以上
「居心地が良くなっちゃうんじゃないかというぐらい、いい球場」
サンケイスポーツによると、巨人の阿部慎之助監督は1月の新人合同自主トレを視察した際、現場となった新2軍球場「ジャイアンツタウンスタジアム」をこう絶賛した。
巨人の新球場は、既存の2軍本拠地であるジャイアンツ球場がある「よみうりランド」に隣接するエリアに総事業費250億円以上をかけて建設された。2月26日にはメディア向けの内覧会が催され、筆者も多くのメディア関係者らとともに現地を視察した。