井上尚弥選手(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)

 スーパーバンタム級で4団体統一王者の井上尚弥選手が所属し、プロモーターも務める大橋ボクシングジムの大橋秀行会長の単独インタビュー。前編ではサブスクがボクシング興行にもたらした影響などを聞いたが、後編では一つ下の階級で圧倒的な強さをみせ「ビッグバン」という新たな愛称もついたWBCバンタム級世界王者・中谷潤人選手(M・T)との「世紀の一戦」の実現可能性などについて聞く。

>>(前編から読む)「井上尚弥が日本のボクシングビジネスを変えた」大橋ジム会長が語る、サブスクとYouTubeが巨額マネーを呼ぶ仕組み

井上選手は「とにかく強い相手と戦いたい」

──スーパーバンタム級で4団体統一王者の井上選手と、一つ下の階級で圧倒的な強さをみせているWBCバンタム級世界王者・中谷潤人選手(M・T)による「世紀の一戦」への期待が高まっています。今年、井上選手は春に米ラスベガスで試合を行い、その後は日本での防衛戦を挟み、サウジアラビアでフェザー級へ上げて世界戦との報道もあります。中谷選手との対決は26年に、井上選手が再び階級を下げる一方、中谷選手はスーパーバンタム級へ階級を上げることで実現することになるのではと思いますが、実現の可能性はいかがですか。

大橋秀行会長(以下敬称略):そういう青写真のような動きになっていくでしょうね。お互いに連勝でここまできています(井上選手は29戦全勝26KO、中谷選手は30戦全勝23KO)。

中谷潤人選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

 井上選手はとにかく強いボクサーと戦いたいという気持ちが強い。次にラスベガスで計画される一戦もWBC同級1位アラン・ピカソ選手(メキシコ)が挑戦を辞退しました。井上選手は、さんざんあおってきて、いざやるとなったら逃げるようなボクサーには燃えません。

 この点で言えば、中谷選手は強いし、まじめで素晴らしい選手。ファンの対戦を待ち望む声も大きいですよね。同じ時代の2人の伝説的なボクサーがいるので、戦わないのはもったいない。対決が実現すれば、日本のボクシング史上においても、最高の一戦になると思います。

──ボクシングはプロや競技だけではなく、むしろすそ野ではフィットネスジムなどでボクササイズが人気になっています。ボクシング界の今後をどうみていますか。