「相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」展示風景。重要文化財《鹿苑寺大書院障壁画 一之間襖絵 葡萄小禽図》伊藤若冲筆 江戸時代 宝暦9年(1759)鹿苑寺蔵 
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(ライター、構成作家:川岸 徹)

創建から640年あまりの歴史を持つ相国寺。 国宝・重要文化財40件以上を含む相国寺派の名品を中心に紹介する展覧会「相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」が東京藝術大学大学美術館で開幕した。

金閣、銀閣を擁する相国寺

 金閣寺、銀閣寺の通称で知られる鹿苑寺、慈照寺を擁する臨済宗相国寺派の大本山「相国寺」。室町幕府三代将軍・足利義満が1382(永徳2)年に発願し、夢窓派の祖・夢窓疎石を勧請開山に迎え、疎石の高弟である春屋妙葩を実質上の開山として創建された。

「相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」展示風景。《夢窓疎石像》夢窓疎石賛 南北朝時代 14世紀 相国寺蔵 ※前期展示

 今も相国寺は京都御所の北側に大寺の姿を誇り、禅宗の古刹として名高い。その一方で、相国寺は美術の発展にも尽力。640年以上の歴史の中で数々の芸術家を育て上げ、名作の誕生を導いてきた。1984年には相国寺をはじめ、鹿苑寺、慈照寺などに伝わる文化財の保存修理、展示公開、禅文化の普及を目的に相国寺承天閣美術館を創設。現在、国宝5点、重要文化財145点を含む優れた作品を収蔵する美術館として、国内外から多くの来館者を迎えている。

 この相国寺承天閣美術館の開館40周年を記念して企画されたのが、東京藝術大学大学美術館で開幕した「相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」だ。室町幕府の御用絵師とされる相国寺の画僧・如拙と周文。室町水墨画の巨匠と称される雪舟。江戸時代の相国寺文化に深く関わった狩野探幽。そして、奇想の画家・伊藤若冲、原在中、円山応挙。相国寺に受け継がれる名品が、その作品がもつ物語とともに紹介される。