
先週からずっと考えている。ドナルド・トランプという男の胸の内をだ。
アメリカ東部時間の4月2日午後4時(日本時間3日午前5時)から、トランプ大統領が記者会見を開き、世界中から輸入される製品に関税を課すと発表した。それは2段階になっていて、ベースとなる世界共通の10%の関税が、5日から早速発効された。
そこに、約60カ国・地域の個別の「上乗せ分」を加えて、9日から発効する。日本は24%、EUは20%で、中国はすでに発動済みの20%に加えて、34%を上乗せする。日本経済は一定の打撃を受けるが、中国は日本の比ではない。
当然のことながら、世界中から非難囂々だ。先週末には、世界1300カ所以上で「反トランプ・デモ」が行われたと報道された。当のアメリカでも、50州全州で計1200ものデモが展開されたという。
だが、ホワイトハウスには、アメリカ国内及び世界中の最新情報が最も早く的確に入ってくるので、いくら「愚かな大統領」とはいえ、こうした反発は織り込み済みだろう。問題は、そうと分かっていながら、トランプ大統領が「無謀な関税政策」を強行した「真の意図」である。
「マール・ア・ラゴ合意」とは
実は、昨年11月に「トランプ当選」が確定してから、アメリカのメディアや識者の間でしばしば俎上(そじょう)に上り、気になっていた言葉がある。それは「マール・ア・ラゴ合意」、もしくは「第2のプラザ合意」と呼ばれるものだ。
マール・ア・ラゴは、米フロリダ州にあるトランプ大統領の豪華な別荘である。第1期トランプ政権の時の2017年2月と翌2018年4月に、安倍晋三首相(当時)は招かれた。習近平中国国家主席も、2017年4月に訪れて、1泊2日で初の米中首脳会談を行った。

そんな大統領の別荘地にちなみ、今年、「40年ぶりのプラザ合意」がなされるのではないかというのだ。