第三者委員会の報告書を受けて会見する斎藤元彦兵庫県知事=3月26日(写真:産経新聞社)

(宮崎園子:広島在住フリーランス記者)

 年度はじめの4月1日、仕事で付き合いのある人と一緒に山口県を訪れた帰り際、岩国の錦帯橋に寄った。少し肌寒さが残っていたが穏やかに晴れ、錦川沿いのサクラは満開だった。

 年初の地元紙の報道で、劣化部分の補修などの保守工事のため橋がシートで覆われている写真が載っていたので、まだ工事中かと心配していたが、3月初旬には工事は完了したという。

 きれいに連なるアーチと咲き誇る桜と清流のコラボの美しさはひときわで、多くの観光客たちでごった返していた。思えば、前回錦帯橋を訪れたのはコロナ禍真っ只中の2020年8月だった。当時小学1年と保育園児だった子どもたちは2人とも小学校高学年になった。私も当時は新聞社勤務だったが、この春でフリーランスになって4年となる。

政治家が発する耳タコワード

 さあ、気持ちを新たに今年度もがんばろう。と、一日の出来事を振り返りつつ、その日に行われた石破総理大臣の記者会見を首相官邸のホームページから聞きながら、事務作業に取り掛かった。

4月1日、予算成立受け記者会見する石破茂首相(写真:共同通信社)

 すると、やたらと繰り返される、ある言葉にいちいち引っかかった。

「真摯に受け止め、深く反省をいたし」

「国民の皆様方の思いに真摯に向き合うという決意を新たにいたした」

「企業・団体献金につきましては、我が党といたしましては(中略)真摯な議論を行ってきた」

「成案が得られるよう真摯な議論を続けてまいります」

「国民の皆様方の暮らしに真摯に向き合う」

 後で冒頭挨拶全文を見直すと、発言開始5分の間だけで「真摯」を5回も繰り返していた。政治とカネの問題がずっと続く中で飛び出した、自身による自民党の当選1回議員への10万円商品券配布問題に対する謝罪の中での場面。それが済むと、この先展開する施策の説明を続けた。