
福山亮さんは、東海大相模高校(神奈川)の主将として2010年夏の甲子園で準優勝。駒澤大学でも主将として2014年の明治神宮大会で13年ぶりの優勝に貢献した。東芝では10年間で都市対抗に8回、日本選手権に8回出場している。
2024年秋の日本選手権を最後に野球部を勇退。現在は東芝で社業に就きながら、社会人クラブチーム「CLUB REBASE」で野球を続けている。名門でチームに欠かせない存在であり続けた福山さんが、野球人生で学んだこととは。(佐伯 要:ライター)
身近な関係こそ心を伝えるべき
「監督は、本気で甲子園に行きたいと思っておられますか? 僕は本気で監督を甲子園に連れていきたいんですよ!」
東海大相模高校の3年生の時のこと。私は門馬敬治監督(当時、現在は創志学園高校監督)にこう叫んで、自分の気持ちをぶつけました。
チームは春の選抜に出場しましたが初戦で敗退。そこから夏の大会に向けて、なかなか状態が上がりませんでした。
迎えた5月末の日曜日。自校のグラウンドで行われた練習試合で、サヨナラ負けしました。その試合後、門馬監督が「これから練習するぞ」と仰いました。
私たちは「時間的に今日はこれで終わりだろう」と思っていたので、「え?」という表情をしてしまいました。すると、門馬監督は「そんな気持ちだったら、練習しても意味がない」と、監督室に引き上げてしまったのです。
主将だった私は、副将といっしょに監督室へ行き、「グラウンドへ来てください」とお願いしました。「いや、行かない」「お願いします」というやりとりが何度か続きました。
その末に、門馬監督は「わかった。行く」と仰った。でも、私は「しかたない」というニュアンスを感じたので、監督に詰め寄りました。
「しかたなくなら、来ていただかなくていいです」
その後に続けたのが、冒頭の言葉です。感情をむき出しにした私に対して、門馬監督も声を張り上げて答えてくださいました。
「本気で行きたいに決まってるだろ!」
それから監督と一緒にグラウンドに戻ると、みんなで集合して「本気で甲子園に行くしかない」と話しました。