中学で直面した男女のフィジカル差、マネジャー転身で得た財産、野球用品商社の営業で活躍する女性が辿り着いた役割

　野球用品商社である株式会社イソノ運動具店で、同社初の女性営業職として活躍する大塚玲奈さん。野球用品の営業職は他社を含めて男性の野球経験者が多い。その中で、彼女は自分の役割を見出し、お客様に貢献している。大塚さんは中学までは選手として、常総学院高校、立正大学ではマネジャーとして野球を続けてきた。その経験は、現在の仕事にどのように生かされているのか？（佐伯 要：ライター）

中学2年で感じた男子とのフィジカルの差

　仕事で課題にぶつかると、私は選手時代や、野球部のマネジャーとして活動していた頃の経験を思い出します。

　野球を始めたのは小学校5年生から。両親が野球好きで、2歳上の兄もやっていた影響で、学童野球のチーム（宗道サンライズ）に入団。男子と一緒にプレーしました。その頃は周りの男子と比べて体が大きいほうで、足も速くてパワーもあったと思います。ポジションはファーストで、四番、五番、六番を打っていました。

　下妻市立千代川中学（茨城）でも軟式野球部に入り、男子とプレーしました。女子テニス部に入って女子と楽しくやるのもいいかなとも考えましたが、やはり野球を続けることを選んだのです。

　ただ、中学2年生の頃になると、男子との差を感じるようになりました。どうしても走るスピードやパワーなど、フィジカル面で劣ってしまう。打撃練習をすると、男子選手に比べて打球が飛ばない。それがすごくショックでした。

　どうしてこんなに差があるんだろう？　小学生の頃は私のほうが足も速かったし、打力もあったのに……と、もどかしかったですね。　正直、野球をやめようと思ったこともあります。

　それでも、やめなかった。その理由の1つは男子部員たちのおかげです。女子だからといって区別することなく、やりやすい環境をつくってくれました。

　もう1つは、監督だった佐次聖司先生の存在が大きかったですね。佐次先生は男女分け隔てなく指導してくださって、「大塚は根性とやる気がある」と認めてくださったんです。