経済同友会の定例記者会見で、サントリーHD会長辞任の経緯を説明した新浪剛史代表幹事(2025年9月3日、写真:ロイター/アフロ)
自らの潔白を主張する新浪氏だが…
サントリーホールディングス(HD)の新浪剛史会長が辞任した。理由は、新浪氏が大麻由来成分が含まれている疑いのあるサプリメントを購入し、それをきっかけに福岡県警の捜査を受けたためだ。
大麻由来サプリは違法ではないが、特に海外製品には、日本では規制されているTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分が入っている場合もある。福岡県警の捜査もその疑いによるものと見られている。
しかし、捜査の結果、違法薬物は発見されず尿検査でも検出されなかったという。新浪氏は経済同友会代表幹事として9月3日の定例会見に出席したが、その席でも自らの潔白を主張した。
にもかかわらずサントリーHDの会長職を辞任せざるを得なかったのは、サントリーは「セサミン」などを販売する国内最大手のサプリ会社でもあるためだ。そのトップがサプリ購入で疑義を持たれることは消費者を対象としたビジネス全般に影響が出る。
それを恐れた新浪氏を除くサントリーHDの全役員は辞任やむなしと判断し、9月1日に米国出張から帰国した新浪氏に対して辞任を促し、新浪氏もそれを了承した。
9月2日に会見した鳥井信宏・サントリーHD社長は、「消費者の信頼を取り戻すために全力を尽くす」と語っている。この言葉からも分かるように、サントリーHDとしては風評も含め被害を最小限に抑えるための判断を疑惑の白黒よりも優先させ、新浪氏も応じた──。これが一連の流れだ。
新浪会長の辞任について説明、謝罪したサントリーHDの鳥井信宏社長(左)と山田賢治副社長(2025年9月2日、写真:ロイター/アフロ)
緊急記者会見で新浪会長の辞任理由を説明した鳥井信宏・サントリーHD社長(2025年9月2日、写真:ロイター/アフロ)