チームワークとは自分の役割を果たすこと

 自分が詳しくない野球の深い話については、知ったかぶりせずに、教えてもらって少しずつ詳しくなればいい。では、自分にできること、自分の役割とは何か? 私は「野球に詳しい人」になるよりも、「相談しやすい人」になろうと考えました。

 野球の専門知識でほかの人を圧倒するのではなく、お客様とのコミュニケーションを大事にして、困りごとやお悩みに真摯に耳を傾ける。「大塚に相談すれば、対応してくれるんじゃないか」「大塚にはお願いしやすいから、連絡してみよう」と思ってもらえる営業になる。そこに自分の役割を見出しました。

 チームにおいて重要なのは、全員が同じ役割を担うことではなく、それぞれが自分にできることを理解し、その役割を全うすること。野球で学んだこのチームワークが、仕事でも大切です。

 今、こうして野球に関わる仕事ができているのは幸せなことです。旅行会社時代の人脈を生かして新規のお客様も獲得できて、自分の役割が少しずつ果たせていると思っています。

 実は今年、女性2人目の営業職が入社してきました。今はその社員のOJTを担当しています。これから先、女性の営業が3人目、4人目と入社してきたときに、彼女たちが「働きやすい」と思える環境づくりをしていきたいと考えています。その部分でも、やはり「相談しやすい人」になれればいいですね。

大塚玲奈(おおつか・れな)
1997年茨城県生まれ。小学校5年生から学童野球のチーム・宗道サンライズで野球を始め、一塁手としてプレー。下妻市立千代川中学では控えの内野手として全国中学校軟式野球大会でベスト8入り。常総学院高校(茨城)ではマネジャーとなり、2015年春の選抜高校野球大会でベスト8入り。立正大学でもマネジャーを務め、3年時の2018年秋には東都一部リーグを制覇し、明治神宮大会でも優勝した。立正大学を卒業後、2020年から3年間は旅行会社に勤務。2023年に株式会社イソノ運動具店に入社。同社初の女性の営業職として高校、大学、社会人の野球チームを担当している。

佐伯 要(さえき・かなめ)
1971年和歌山県生まれ。早稲田大学人間科学部卒業後、16年間のスポーツメーカー勤務を経て、2009年にスポーツライターに。「取材の量と原稿の質は比例する」をモットーに、野球を中心に取材・執筆している。著書に『1980年早実 大ちゃんフィーバーの真実』(ベースボール・マガジン社)がある。