2010年の春の選抜を制した興南高校(写真:沖縄タイムス/共同通信イメージズ)
2010年、興南高校は沖縄県勢として初の夏の甲子園優勝を果たし、史上6校目となる春夏連覇を達成した。「1番・セカンド」だった国吉大陸さんは高校で野球から離れ、明治大学に進むと3年時に公認会計士試験に合格。現在は沖縄で国吉大陸公認会計士・税理士事務所を開業している。国吉さんが甲子園春夏連覇で得たものは何か。野球から学んだことを、現在の仕事にどう生かしているのか。(佐伯 要:ライター)
春夏連覇できた理由
興南高校が2010年に春夏連覇を達成できたのは、私たちが当たり前のことを当たり前に、日本一やった集団だったからです。
エース左腕の島袋洋奨(現・興南高校コーチ)がいましたが、飛び抜けた能力のある選手が揃っているわけではありませんでした。
興南高の我喜屋優監督は「甲子園で優勝する」という目標を掲げて、「一人ひとりが日本一になれば、甲子園で優勝できる」とおっしゃっていました。
何か特別なことをやっていたわけではありません。プレーだけではなく、挨拶や服装など細かいことまで含めて、当たり前のことを当たり前にする。それを毎日コツコツ繰り返して、当たり前の基準を日本一まで高めていきました。
大事なのは、一人ひとりの力を高めたうえで、持っている力を100%発揮すること。120%とか130%とか、実力以上の力を出す必要はありません。また、誰かが200%を出しても、誰かが70%しか出せなければ負けてしまいます。
我喜屋監督は、一つひとつのことに対してとにかく妥協しません。たとえば、ノックの1球でも、「今のプレーは甲子園優勝に対して甘い」「当たり前のことが当たり前にできていない」ということがあれば、すぐにみんなを集めてズレを修正します。
選手間でも「今のプレーは違うぞ。こうしたほうがいいんじゃないか?」と指摘し合っていました。「レギュラーだから」とか「控えだから」とかは関係なく、活発な意見が出ていたと思います。
沖縄の地元のメンバーが集まったチームで春夏連覇を達成して、確信したことがあります。それは「当たり前のことを当たり前に、毎日コツコツやるのが一番強い」ということ。これは、その後の人生に大きな影響を与えています。
国吉大陸公認会計士・税理士事務所の所長を務める国吉大陸さん(写真提供:国吉さん)