
飲食ビジネスでは避けて通るのが難しい異物混入。とはいえ、すき家の異物混入事案は、事後対応の遅れで大炎上しました。2千店近い全国の店舗のほとんどを一時閉店するという大きな損害を負ってまで再生を目指すすき家ですが、この事件についてテレビの街頭インタビューなどでの消費者の声は、謝罪会見を求めるものなど概して厳しい意見が目立ちます。
果たしてすき家は信頼を取り戻せるのか? 一斉閉店を経て営業再開となったその日、都内のすき家に行ってみました。
(増沢 隆太:東北大学特任教授、人事・経営コンサルタント)
否定的な街の声
すき家のみそ汁にネズミの死骸が入っていたという異物混入事件は、果たして一気に燃え広がりました。この事件は、食べ物にネズミが入っていたという特大インパクトと、さらに事実が発覚してからも事態を公表せず、ネットニュースで騒ぎになってから対応したという、すき家の姿勢にあったといえます。
結果として全国2千店近い店舗を一斉休業して店舗の衛生対策を取ったことは大きなダメージとなった一方で、その姿勢は一定の評価を得られたものと思います。
私はこの件であちこちのテレビ番組でコメントしました。食品産業において異物混入は「あってはならないもの」ではあっても完全に防ぐことができない現実や、こうした一斉休業のような対策を打ったことは評価されるべきだと述べました。
出演したニュースやワイドショーでは街の声も紹介されていましたが、当然のことながらすき家に対する厳しい声が多数でした。
ただ、私はそうしたインタビューで気付いたことがあります。それは取材に答えていた客層です。
主婦やカップルなどから否定的な声が出ていたのはある意味当然かと思います。ただ牛丼店のお客とは誰なのでしょう。
一斉閉店明けとなる4月4日、私はある山手線の駅近くにあるすき家に行ってみました。
◎すき家「営業再開と今後の対策についてのお知らせ」(2025年04月03日)