「謝罪会見は必要か?」の答

 ネズミ事件発覚時は、問題を隠ぺいするかのような姿勢が大きな批判を呼び、釈明・謝罪会見をすべきという意見も見られました。炎上事件では謝罪会見を求める声がSNSやネットニュース書き込みではよく聞かれます。

 しかしその是非は一概にはいえません。

 謝罪会見には明確な目的があります。会見を行うことが事業継続や推進に適うかどうかで、必要性が判断されます。

 謝罪をしたから何でも許されるのではありません。会見をしたことで、逆に火に油を注いでしまった失敗例は数多くあります。

 すき家の場合、数十億という損失を被ってまで、一斉休業や衛生の点検を行ったことで、「すき家のお客」から一定の納得を得られたならば、さらなる釈明も謝罪も会見も開く必要性は低いことになります。

 食品産業で異物混入を根絶することはできないということと、強烈な物価高の中でも並盛り480円(4月13日現在)で食べられるというバリュー・フォー・プライスから見て、会見をする必要性は高くないと感じています。

 ネット炎上などでは誰もが冷静さを失い、うろたえるものです。

 ただビジネスにおいて常に忘れてはならないもの、それは顧客です。

 炎上でワーワーと声を上げるのは世の中のほんのわずかなごく一部、ノイジーマイノリティだといわれます。世の中のほとんどの人は、そこまで怒りも関心もない可能性があります。

 わずかなことでも燃えさかる炎上社会は定着しました。ますますもって、自社の本当のお客が誰なのか、冷静な目を養う必要性は高いといえます。