訪日旅行客にも人気のスポット・浅草の浅草寺(写真:Taidgh Barron/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)

 トランプ発の関税爆弾によって各国の金融市場が動揺する中、円ウォンレートも大きく変動している。2年ぶりに100円=1000ウォン台を突破し、目下「円高ウォン安」相場が続いている。

 そのため韓国では、5月の大型休日を控え、日本旅行が停滞していると報じられ始めた。さらには、やや性急だが、日本旅行の急減によるLCC(格安航空会社)の経営危機論まで一部で論じられている。

〈コスパ旅行地〉としての魅力が低下

 韓国では毎年5月の第1週に約4~6日間の「韓国版ゴールデンウィーク」がある。この時期、韓国の人々にとっての人気旅行先は、コロナ直後から昨年までは日本が圧倒的だった。しかし、円高が本格化した今年は様相が変わってきている。

 韓国人旅行客がベトナムなど東南アジアに足を運び、日本旅行の予約率が45%も下落したというニュースが報じられたのだ。

 韓国の大手旅行社キョウォンツアーの発表によると、5月1~6日までの日本旅行予約率は前年比で45%近く減少した。予約率から見た人気旅行先には、ベトナム(18.7%)が1位で、次いで欧州(17.2%)、タイ(14.4%)、中国(11.7%)、そして日本(9.3%)は5番目だ。日本の場合、昨年同期の13.1%より45%も減ったことになる。

 これに対して、旅行会社は「為替レート上昇と日本国内の物価高騰で〈コスパ旅行地〉としての魅力が弱まったことが主な原因」と分析している。

 コロナ禍以降、韓国では日本が最も人気のある海外旅行先だった。コロナ以前は文在寅政権の「ノージャパン運動」の影響で、日本への旅行は社会全体から睨まれるような雰囲気さえあったが、新型コロナパンデミックの終末と政権交代によりそれまで抑えこまれていた需要が一気に爆発したのだ。

2023年10月、ソウルのCOEXコンベンションセンターで開催された国際観光博覧会「トラベルショー」では、日本ブースに入場待ちの長い列ができていた(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)

 さらにそこに、偶然にも「スーパー円安」が吹き荒れた。ここ2~3年間、為替レートは1000円に対し、800ウォン台中後半から900ウォン台前半で推移すると、韓国では日本旅行が大好況期を謳歌した。