輸出を増やせないなか、日本の地方に外国人観光客を誘致することは日本にとって最優先課題になっている(マクフライ 腰抜けによるPixabayからの画像)

日本の輸出額で第2位に

 前回の連載の最後で私は、このようにまとめた。

 世界中の観光好きが一番訪れたい国は日本であり、その理由は美味しいものを食べたいから。しかも美味しいものの中でも、地方の食に注目している訪日観光客(インバウンド)は90%にものぼるという統計もある。

 しかし現実には、地方を訪れたインバウンドは10%程度で、全体の70%は三大都市圏しか訪れていない。

 そして、このミスマッチを解消するためにも、地方の食をもっとPRし、さらに環境を整備すればインバウンドは喜んで地方を訪れ、オーバーツーリズムも解消するのである。論理的には、であるが・・・と結んだ。

 実際、ここ数か月で2024年度のインバウンド関係の統計が出てきているが、ほとんどすべて、いい数字しかない。

 2024年のインバウンドの数は3700万人弱で、過去最高の数字となっている。

 インバウンド1人あたりの消費額は22万7000円でこれも最高だが、なんといってもすごいのは、インバウンドの消費総額が8兆1000億円に上ったことである。

 2023年度が5兆3000億円だから、飛躍的な伸びである。

 インバウンドの消費額は統計上では「輸出額」に計上される。昨年のトップは自動車で17兆円あまりだが、インバウンド消費額は半導体や鉄鋼を抜いて第2位になったのである。

 いまや日本の輸出産業を牽引する大きな産業であるといっていい。

 JTBは年初に今年のインバウンド数を4000万人以上と見込んだ。1月が378万人、2月は325万人となり、このままいけば4200万人は確実に超える計算だ。

 さらに石破茂総理は、3月18日に首相官邸で開かれた「観光立国推進閣僚会議」で、2025年度末で期限を迎える観光立国推進基本計画について新たな計画の策定を指示。

 これまで示されていた「2030年の訪日客数6000万人、消費額15兆円」の実現に加え、総理の看板政策「地方創生2.0」の実現につながる施策の検討を求め、インバウンドの地方誘客の促進、持続可能な観光の推進についての充実を指示した。

 これまで以上にインバウンドの地方誘客を推進するよう、国を挙げて考える時期がきたということだが、そうなると頭をよぎるのがオーバーツーリズムの問題だ。