毎年、三一節(3月1日)や光復節(8月15日)など、日本の植民統治とゆかりのある連休にも日本旅行の人気は衰えることを知らず、「こんな時期に日本旅行に行くのはけしからん」とSNSで嘆く人がいるほどだった。

海外からの旅行客の増加には「円安」も大きな役割を果たしてきた(写真:Taidgh Barron/ZUMA PRESS WIRE/共同通信イメージズ)

 日本観光庁(JNTO)の統計によると、2023年に日本を訪問した韓国人観光客は約700万人で、外国人観光客全体で1位、24年には過去最高の約882万人を記録した。今年1月に限って見ても、日本を訪れた韓国人観光客は97万人もいた。特に旧正月連休期間には27万6237人が日本に出国し、前年対比2倍以上増加した。

 この傾向のとおりなら、今年は1000万人が日本を訪れると予測されていた。

 しかし、2月以降、円ウォン相場は1000円=970ウォン台を超え、韓国人の日本旅行需要は伸び悩んでいる。

日本旅行ブームの終焉か

 韓国法務部によると、この2月に日本を訪れた韓国人の訪問客数は81万5231人で、前月(93万5815人=韓国側の統計)比で12.9%も減少した。もちろん、2月は1月に比べて3日短く、旧正月連休のような大型連休がないため、単純比較には無理があるが、筆者の周りの人々の話を聞くと、日本旅行ブームの終焉を感じる。

 一番大きな理由はやはり為替レートの変動と日本の物価急騰により価格的なメリットが消えてしまったことだ。宿泊ホテル代が上がり、飛行機チケットが上がり、「安い」という認識が完全に消えてしまった。

 さらに日本政府はオーバーツーリズム問題解決のために、現在1000円の出国税を最大5000円まで引き上げる法案をはじめ、主要観光地でも入場料引き上げ、外国人対象宿泊税新設など多様な追加負担要因が検討されている。これらの点も日本旅行に対する心理的障壁になっている。

 日本旅行が減ることになれば、日本航路をメイン路線にしている韓国のLCCにも打撃になるという見方も出ている。

 日本旅行の需要が爆発的に増加したコロナ禍以降、韓国LCCは積極的に日本路線を拡大し、成長してきた。昨年第3四半期基準で大韓航空の系列LCCの「JIN AIR」は日本路線の比重が41.2%、「JEJU AIR」と「TWAY AIR」もそれぞれ30.2%、28.2%に達する。

 一般的にウォンに対する円相場が上昇すれば、韓国人による日本旅行の需要は減少する反面、日本人による韓国訪問需要は増える傾向を見せるはずだが、日本人乗客比重が顕著に低い韓国LCCは円高によるメリットを期待しにくいというのが業界の観測だ。韓国LCC業界は最近、済州航空の務安(ムアン)空港事件をはじめ、相次ぐ安全事故で苦しんでいるが、そこに円高現象は追い打ちをかけることになるだろうと見られている。