(宮崎園子:広島在住フリーランス記者、元朝日新聞記者)
もし東京にいたのならば、あの会見に出席しただろうか。「フルオープン」というのだから、メディア企業に属さないわたしのようなフリーランスの取材者も行こうと思えば行けた。だが結論を言うと、わたしは行かなかった。
そもそも、わたしの生活の拠点がある広島から東京は物理的に遠い。新幹線で往復8時間の移動をしつつ、抱えている仕事を傍に置いて参加する余裕はなかった。そして、これは結果論ではあるが、午後4時から午前2時過ぎまで、ぶっ続けで記者会見の場にいることなど、小学生の子育て中のわたしにはどだい無理だった。
メディアのありようが問われた会見
ただ、自分が約20年間属していた「マスメディア」というか「オールドメディア」というか「記者クラブメディア」というか、そのギョーカイのありようが問われているという問題意識はあった。それに、動画撮影すらさせなかった前回会見で、排除されたフリーランスの取材者であるという立場でも、「やり直し」会見が一体どうなるのか関心があった。
結果的にどうしたかというと、会見をリアルタイムで聞いた。午前2時過ぎまでほとんど全編を、夕食を作りながら、片付けながら、確定申告に向けた事務作業をしながら、聞いた。
会見を現地取材していないのだから、今回の事案そのもの(中居正広氏とフジテレビをめぐる問題)について知ったように書くつもりもないし、専門家じゃないから解説するつもりもない。
だが、フジテレビや現場にいる多くの記者と同じギョーカイに20年所属した人間、そして、今も無所属で取材を続けるフリーの記者という立場で、「引き」で見た会見そのものから透けていると感じたことついて書き記しておきたい。