
1月27日に開かれた中居正広氏と女性とのトラブルをめぐるフジテレビの謝罪会見は、日付をまたいで10時間24分に及ぶ異例の長時間となった。報道陣と経営陣の質疑はすれ違い、双方に批判と不信が強まっている。フジテレビ側はどうしたらよかったのか──。吉本興業在職中は会社やタレントなど数多くの不祥事の謝罪会見を仕切った元専務で、現在は「謝罪マスター」として危機管理やコミュニケーション指導を行う竹中功氏が考察する。
「謝罪」で「怒り(イカリ)」を「理解(リカイ)」に変える
「記者会見も論評も短く、分かりやすく」が求められる風潮の中で10時間を超えたフジテレビの「謝罪会見」を読み解いてみたい。
そもそも「謝罪」とは何か?
誰が、誰に、何をしでかしたのかに気付き、反省し、再発防止策を練り、「怒り(イカリ)」を「理解(リカイ)」に変えるための道具なのだ。
これが一般社会的な問題である時には「説明責任」や「謝罪」が目的でメディアを招いて「謝罪会見」が催される。そしてそれは誰に向けてのものなのかをハッキリさせねばならない。
テレビ局の会見となると、企業の性質上、公共性も高く、発信先は内部・外部、すべてのステークホルダー向けになる。例えばそれが社員向けなら「社員総会」で済ませばいい話である。だが、今回はあらゆるステークホルダーを対象とする催物だったのだ。
会見前、社内や労働組合から「日枝相談役は会見に出ろ!」などという声が出ていると耳にした。
いっそのこと、会見のド頭に「私が日枝です。悪いのは私です。社員はみな悪くありません!」ぐらいサプライズをかましてもらえると潮目も変わったのではないだろうか?
ということで、記者会見の設計図(シナリオ作り)についてお話ししよう。吉本興業在籍時代は何度も何度も謝罪会見などをした経験から作ったものだ。